産後鬱との闘いは自分を取り戻すための闘いだった
産後1カ月健診で、産後鬱状態だと診断。
精神科への通院をすすめられたが、断った。
産後鬱になった原因が明らかだったからだ。
「自分」を取り戻さないかぎり、治癒はありえない。
でも、こんな状態でどうやって??
授乳、おむつ替え、寝かしつけ。
永遠にこの繰り返しなのか…。
今振り返ると、「明けない夜はないよ!」と自分で自分を笑い飛ばしてあげたくなるけれど、当時は「このまま私の一生終わるんだ」とまったく未来がみえない状況。
「子供を産まなかったほうが幸せだったのかな…」と、酒井順子著「子のない人生」を読んでみたり。
そんなとき、昔の仕事相手から電話がきた。
急ぎの仕事があって、ライターを探しているという。
将来のキャリアにつながる仕事だったので、自分自身も絶対やりたかった(うちの会社は副業OK)。
しかし、新生児を抱えてはムリだ。
「どうしてこんなタイミングで…」
間の悪さを呪ったが、背中を押してくれたのは夫のひと言だった。
「ものごとがベストのタイミングでくることのほうが少ないよ」
このチャンスを逃したら、きっと後悔する。
相手には事情を説明し、「できる範囲でいいので」と理解してもらった。
日中は母と夫に子供を見てもらったが、私が他のことに集中して自分に注目がいっていないことに赤ちゃんなりに気づくのが、いつもよりヒステリックに泣き叫ぶ。
「もうダメかもしれない…」
でも、一度受けた仕事を投げ出すわけにはいかない。
子供が寝ている未明、一気に仕事を終えた。
ドキドキしながら相手先に渡すと、一発OK!
やったあ!
安心感と達成感で全身がぽかぽかした。
「自分」が求められ、人の役に立ち、評価される。
それだけで、こんなにも力が湧いてくるのか。
自分にとっての、「仕事をする」ということの根源的な意味を思い知らされた。
もうひとつ、よかったことがある。
仕事を終えて抱っこする我が子のかわいさよ!
なんにも心煩わされることなく、思う存分子供と向き合えることの幸せに気づかされたのだ。
産後鬱の闇から一歩踏み出せた出来事だった。